何故だろう?ヤギが悪魔の化身にされる理由

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とても身近な動物なように感じるけど、私たちの生活の中にはあまり現れないヤギ。家畜として飼われる動物であるように思いますが、日本ではあまりヤギを飼育する場面を見ることはありませんね。

ヤギは物語宗教的な面で頻繁に見ることがあります。「スケープゴート」という言葉や、「やぎ座」という星座、悪魔の化身として「サバトの黒山羊(バフォメット)」という話もあります。タロットカードの悪魔もこのバフォメットを描いたという説があります。

かわいい山羊がなぜ悪魔扱いされてしまったのか?今日は、不遇なヤギと人間の歴史を調べてみます。

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中世では黒ミサを司るバフォメット

山羊の頭を持った悪魔というのは、日本ではあまりイメージできませんが、キリスト教などユダヤ教を元にする宗教では、山羊が悪魔とされるものが多いのです。

黒ミサを司る、黒山羊の悪魔バフォメットの話は11世紀ごろラテン語の書簡に現れます。キリスト教が異教を差す物を「バフォメット」とし、十字軍の記録でもモスクをバフォメットの神殿とする記述が残っているのです。

筆者の憶測となりますが、この頃から、十字軍の遠征などに代表されるような、キリスト教の名のもとに軍隊を派兵する理由が必要であり、そのために異教を悪魔と結び付けるものが必要とされたために作り出されたものがバフォメットだったのではないかと考えられます。

突如現れ、今もなおキリスト教の悪魔として残るバフォメットのような山羊の悪魔。しかし、山羊が人間から不遇な扱いを受けていた記録はさらに古代にさかのぼります。

 天使の羊、悪魔の山羊

とても近い種でありながら、キリスト教では羊を天使として扱い、山羊は悪魔として扱う場面が多いのです。これは、キリスト教が作り出したイメージではなく、もっと古い宗教からの伝統が影響しています。

ギリシャ神話では山羊は神様だった

それはギリシャ神話の神牧神パン」という別名「山羊のパン」という古い自然神の存在が発端となります。

筆者の大雑把な説明になりますが、自由な思想のギリシャ神話において、パンは奔放で好色な神様でした。パンは神話の中で、色恋沙汰ばかり起こす神様であるものの、とても古い神様であり、多くの神々に影響を与えているのです。好色で性欲の旺盛なパンは、多産の山羊と重ね合わせられて考えられていました。パンが怪物の王テューポーンに襲われたときに、上半身が山羊、下半身が魚の姿になって逃げたエピソードがあります。

実は、このギリシャ神話のパンの存在が、後に山羊を悪魔に変えてしまったのです。

一神教の教えではパンは悪となる

時代が進み、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの一神教が生まれ勢力を伸ばしていきます。戒律の厳しいこれらの宗教では、ギリシャ神話に現れるパンのような神様を認めるわけにはいきません。宗教が変わったことで、多産の象徴である山羊は神の化身としての存在を消されてしまいます。そして逆に憎むべき悪の存在とされてしまうのです。

旧約聖書に出てくる堕天使アザゼルへの生贄の山羊

古来より、羊もヤギも生贄として捧げられていたようですが、山羊には悲しい生贄の逸話が残っています。

旧約聖書の中に、贖罪日の儀式の方法が記載されています。その中に、アザゼルという堕天使に罪深い人を生贄として捧げなくてはならない儀式があったのです。

この儀式の方法として、二匹用意された山羊の一匹を生贄として捧げ、もう一匹は生きたまま荒野に放ち、アザゼルの生贄にするのです。どちらも生贄にされる山羊ですが、贖罪の日の祝いのために生贄にされることと、罪深い人間の代わりに荒野に放たれ、アザゼルの犠牲になるのでは意味が全く違うと解釈されます。このことをスケープゴートと言い、今でも使われる言葉として残っているのです。

キリスト教では何故羊が天使なのか

古くはユダヤ教の中でも、羊は神聖な生贄として記載されており、羊の血がイスラエルの民を護り、救うものであったと信じられていました。そのため、キリストが生まれ、人間の罪を贖い(あがない)イエス自信が生贄になったことを羊と重ね合わせたことにより、羊が神聖な生き物とされるようになったとの見方が有力です。

ギリシャ神話で神であった山羊は、一神教の布教の都合上、悪魔に変わり、一神教で神聖とされていた羊は天使として扱われる存在になったわけです。

日本における山羊

日本にはあまりヤギの話はありません。日本に山羊が居ることが確認できるのは15世紀ごろ。東南アジアから持ち込まれた山羊が日本に定着したと考えられています。

山羊は、環境が悪くても、飼料が悪くても育ってくれる家畜としてとても優れた生き物であり、日本も戦時中には山羊を貴重なたんぱく源にしていました。戦時中には67万頭近く飼育されていた記録があります。

しかし、戦後食料事情が変わり、山羊の需要が減るとともに飼育数は激減し、平成12年には全国で2万頭程度まで減ってしまいました。

まとめ

山羊はとても食欲が旺盛です。大人の山羊は一日に10㎏程の草を食べると言います。そんな山羊の生態を活かし、「ヤギ」で検索すると、「エコ除草にヤギレンタル」というサイトが出てくるなど、ヤギの新たな側面を生活に利用しようとする動きもあります。

また、とても温厚で人懐っこいヤギは愛好家も多く一年に一度、全国山羊サミットが開催されています。

長い歴史の中で、犬と共に人間と共存するのがとても早かった山羊は、人間ととても相性の良い動物です。悪魔の化身とされた不遇の時代を終わらせて、多くの人に愛される存在であって欲しいですね。

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